花が咲かない椿作品紹介 > 光を超える未知






表紙イラスト:綾崎アイリ
「また会おうね。約束だよ……」

今から十の百乗年という気の遠くなるような年月が過ぎた時代。
かつて数多存在した銀河はその生涯を終え、宇宙はわずかな素粒子だけが彷徨う暗く冷たい空間となり果てた。
はるか昔に滅亡寸前の地球を出発した世代宇宙船スプートニクの中で、最後の乗組員ミチは終焉の時に向けて静かに日々を過ごしていた。
そこに使者と名乗る謎の白いクモが現れ、ミチが間もなく始まる「六番目の世界」を担う伝説の女神だと告げられる。クモに誘われるままスプートニクを降りてみたら……
「宇宙船泥棒!」
運命の歯車が回り始める。

スプートニクを取り返すべくショウリョウバッタのコアトルと、船外で出会った青年ケイとともにクモの行方を追っていくミチ。
創世を阻む闇の存在と自らの使命、そしてかつて星が交わした「約束」を少しずつ知ることになる。

未知の世界をめぐるスペース・ファンタジー。

◇発売日:2016年6月10日
◇小説(電子書籍)
◆ジャンル:ファンタジー


>>購入ページ(Amazon Kindle)





 
◆ミチ
  十六歳の女の子。世代宇宙船スプートニクの最後の乗組員。
  新しい世界への希望を捨てず日々明るく暮らしている。
  古今東西のあらゆる言語のほか、昆虫の言葉も自由に操ることができる。好物はドーナツ。

 
◆ケイ
  スプートニクを降りた後に出会った青年。
  ミチ曰はく「イケてない男子」。なかなか個性的な風貌をしている。
  王様のように振る舞ってはしばしばミチにふくれっ面をさせる。

 ◆コアトル
  しゃべって踊れる(?)ショウリョウバッタ。
  誰もいなくなったスプートニクの中ではミチの唯一の友達。人間以上に物知りで器用。

 
◇スプートニク
  何世代もかけて目的地に到着することを想定して作られた世代宇宙船。
  宇宙始まって以来最大最悪の銀河戦争「黒の終末」により破壊された地球を脱出し、
  新天地を目指して現在に至ると言われているが……

 
◇暗闇従者
  巨大な昆虫の姿をした謎の生命体。人間が嫌いらしく、目の敵のようにして襲いかかってくる。

 
◇ハルディティアナ
  ミチの愛読書『ガラクシア創世神話』の中で出現を予言されている女神。
  本によると現在の世界は五番目の世界。
  お相手の創世神とともに次の六番目の世界を担うことになると考えられている。


「この終わりかけの世界の中にも、見つけてもらえるのを待っている場所がきっとある」





◆末代の人々
……こうして人類最大最悪の『過ち』により太陽は消失し、地球やその他の太陽系の惑星も後に続いた。
数百億年後、それぞれの銀河が合体して超巨大な銀河団が誕生することになる。それらは光を超える速さで遠ざかり、銀河からは明かりが消えていく。ついには何もかもを吸い込む真っ黒い穴ぼこだらけの空間となる。
十の百乗年を超える遠い将来、万物を構成する原子すら消滅した後、宇宙は暗く冷たい世界と変わり果てるだろう……
(ガラクシア創世神話より)


十の百乗年=1000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000000
00000000000000000年(!)。
「真っ黒い穴ぼこ」というのはブラックホールを指しているようです。
銀河を構成する星々はおろか、その成れの果てであるブラックホールさえも寿命を迎えて消滅した超遠未来の宇宙に生きる主人公達の物語です。

◆神々が創造した世界
宇宙には未知のエネルギーが存在し、時として万物を創造する力を持つ超越生命体を生み出すことがあります。それらが昔から「神」と呼ばれてきた存在の正体であると物語の中では考えられています。コアトルのようにしゃべるバッタが出現したのも、かつて宇宙線と呼ばれるエネルギーが滅亡直前の地球に直接入射し、ご先祖様である一部の昆虫の知力を遺伝子レベルで向上させるに至ったのが原因なのだとか?

アステカ神話によると、現在の人類を中心とする現世は五番目の世界。物語の中でも同じ考え方がとられ、過去にも四つの世界が神々によって創造されてきたとされています。
状況からして五番目の世界も終わりに近づいているようですが、次の六番目の世界を担うのは誰なのか。そもそも次の世界は存在しえるのか。

◆ジュニア向けファンタジー
……と書くと非常に壮大な物語のように見えてしまうかもしれませんが、本文に難しい表現はなく、ジュニア向け(小学校高学年~)小説を想定したスペース・ファンタジーです。もちろん大人の方もお楽しみ頂けます。
独特なミチ視点の語りと彼女の成長、そして個性豊かな昆虫達との遭遇(&攻防戦)を是非体験してみて下さい。


「失礼しちゃうなぁ。僕達バッタにだっていろいろ思うこと考えることあるんだよ」





【光を超える未知 目次】
※リンクを貼っている章は試し読みできます。

一 世界は終わり、また始まる
二 星屑のフーガ
三 ブラックホール紀行
四 彼女だった記憶
五 忘れないで 離れないで
六 消えゆく蒲公英
七 真実の祭壇
八 帰還
九 光を超えていけるもの
十 創世神話
十一 世界は終わり、また始まる -across the universe-


「そう、あなたはもう一度生きられる。よかったね。よかったよ……」



   
 
   また会おうね。約束だよ……



▲TOP