花が咲かない椿作品紹介シオンの遥か・黎明編



「大丈夫、すぐに戻ってくるわよ。たくさんのお土産話を持ってね。わたしも悠くんも、あの人と知り合ってからまだ二、三年ほどだけど、いつもそうだったでしょう?」

 
そうつぶやくと園江先生はコートのブローチを握りしめた。これはライヤ博士との思い出の品でもあった。
平気な様子を装いながら、内心ひどく動揺しているのだと分かった。





 
表紙イラスト:水無月 弍録
園江先生との結婚式を三日後に控える中、ライヤ博士が忽然と姿を消した。
彼の友人である東雲教授と恋人の玲奈とともに捜索の旅に出た悠。
これまでの二度の冒険よりも、はるかに驚くべき物事や受け入れがたい事実が待ち構えているとも知らず……。

ようやく明かされるライヤ博士の出生の秘密、
ヘブライ系爆走冒険物語の思いもよらない結末。
『シオンの遥か』『シオンの遥か・天空編』に続くシリーズ完結編。

◇発売日:2018年8月9日
◇小説(電子書籍)
◆ジャンル:冒険


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● 塩野 悠 Shiono Yu
主人公。都内の私立大学一年生。
誰よりもありふれた日常を好む男の子。
最近は、そのありふれた日常の防衛が極めて難しいことと、完璧すぎる自分の彼女に内心負い目を感じつつあることが悩みの種。

● 北川 玲奈 Kitagawa Rena

悠の彼女。
才色兼備でありながらちょっと天然なところが可愛い女子大生。
周囲には「高嶺の花」なんて言われることもあるけれど、彼女としてはいろいろ思うところもあるらしい。

● ライヤ博士 Dr. Laiya
歳の離れた悠の友人。自称「空飛ぶ自由人」、基本的にあまり地上にいない。
エキセントリックな言動と際限なき冒険心は、これまでに何度も悠や周囲の人たちを騒動に巻き込んできた。
そして今回も例外ではない模様。


● 園江 美月 Sonoe Mitsuki
ライヤ博士の婚約者&悠が通っていた高校の国語の先生。美人だけど授業が厳しいことで有名。
趣味は小説を書くことと、思わせぶりな所作で悠を惑わせること。

● 東雲教授 Prof. Shinonome
ライヤ博士の友人。
大阪市内の私立大学で教鞭を執るかたわら、ミステリー・オカルト研究家として華々しく(?)活動している。
ちなみに自称「教授」だけど正しい役職は助教。


「あの人は、完全に失われてしまった……」





冒険小説『シオンの遥か』シリーズの完結編です。
是非本家の『シオンの遥か』と続編の『シオンの遥か・天空編』をお読みになってから本書をご覧ください。

第一作目は地底、二作目は空を舞台としたお話でしたが、今回はどこに行くのでしょうか。
あらすじにもあるように、これまではっきりと語られなかったライヤ博士の出生に関する秘密もついに明らかになります!
結末は、著者すら予想できないものでした。


──りんごの花ってつぼみがピンクで、咲くと白い桜みたいですごく綺麗なの知ってた?
 小さい頃に一枝もらったのを、枯れてほしくないからって水を入れた花瓶に閉じ込めて凍らせたのがいまだに残ってるんだ。
 永遠に実ることはないけれど、永遠に美しい。
 これはこれでいいのかなってね。
 悠。本当に会えてよかった。わたしたちも、これからはよくも悪くも凍った花。
 遠く離れてしまうけれど、ずっと大好きだよ。



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