花が咲かない椿 > 作品紹介 > 新約幻想ラボラトリー
『新約幻想ラボラトリー』 PV
★注:音楽が流れます★
「大嫌い。四六時中こき使うし、気まぐれで無理難題をふっかけてくるし……一年間もつき合わされて大変だったのよ。いなくなってくれてせいせいしてる。でも困るのよ。今いなくなってもらっちゃ」
(C)表紙・挿絵イラスト:こん |
舞台は千年後の未来世界。アジア・大洋州屈指の総合研究機関デュアルユニヴァース・ラボラトリーに所属する天才脳科学者・海塔博士が行方不明になった。
海塔博士の専属アドミナ(ラボ内の研究者の事務+秘書+雑用係を仰せ使う役職)を務めるアグネスは、若手落ちこぼれ研究者・孔明と見習いアドミナの少年ワタルとともにその足取りを追うことに。
次第に明らかになっていく謎の組織の思惑、隠された研究プロジェクトの存在。博士が姿を消した本当の理由とは……。
叡智の庭園へようこそ。
◇発売日:2015年1月1日
◇小説(電子書籍)
◆ジャンル:SF
>>購入ページ(Amazon Kindle)
|
「このままだとあの激務がただ働きになる……天才脳科学者だろうが世界を変えた研究者だろうが、
なんとしてでもとっつかまえてやるんだから!」
◆海塔博士 Dr. Kaito
アジア・大洋州屈指の研究機関デュアルユニヴァース・ラボラトリーに所属する研究者。
記憶に関する研究が専門。年齢不詳。その輝かしい実績と名声に見合わない若さであることは確か。
果てしなく世話の焼ける人。
◆アグネス Agnes
主人公。海塔博士の専属アドミナ。
手がかりの少ない中、粘り強く博士の行方を追い続ける。
(理由:年俸の査定をしてもらわないとこれまでの激務がただ働きになるため)
忘れっぽいのとキレやすいのが玉に傷。ダウンタウンに行きつけのお店があるらしい。
◆ワタル Wataru
14歳の少年。見習いアドミナとして先輩のアグネスから日々教えを乞う。研究者でもないのになぜか白衣着用。
機械いじりが得意、仕事そっちのけで超人的な改造・発明をちゃちゃっとこなす。
時折オトナな一面を見せてアグネスをはっとさせることも。
◆孔明 Dr. Kohmei
半人半チャリの若手研究者。本人いわく乗り物の乗り心地に関する研究に励んでいる。
大昔の自転車に傾倒するあまり、自らの体を自転車に作り替えてもらったのだとか
(この時代の技術レベルではさほど難しいことではないらしい)。基本自転車、たまに人間。
◆サハラ先生 Dr. Sahara
孔明とワタルが所属する通称落ちこぼれ研究室のリーダー。専門は海洋。
1000階以上ある超高層ラボの中、あえて地下2階にその研究拠点を構えている(理由:なるべく海の高さに近いところにいたいため)。
◆スピノーサ Spinosa
デュアユニに多額の研究資金を提供する謎のファンディングエージェンシー「ダークステート」の
女性エクゼクティブ・オフィサー。海塔博士の失踪に深く関係していると思われる人物。
エンカウントするたびにいちいち嫌味ったらしい台詞をアグネスに投げかけては去っていく。
「研究者の使命って何だと思う?」
「ねぇアグネス。ここ、すごく高いところなんだ。ビルの上の階にいる人も乗り物に乗ってる人の目にも届かない。
ボクもずっと前向いて操縦してるよ……だからさ」
―叡智の庭園へようこそ。
アグネス達が所属するデュアルユニヴァース・ラボラトリーは、幅広く科学技術に関する研究を行う世界最高水準の研究機関です。全面ガラス張りの建物と至るところに植えつけられた人工樹木から、「庭園」のようだとよく言われるそうです。
総勢5,000人を越える研究者および彼らの事務・秘書担当&雑用係のアドミナが在籍しています。職員の福利厚生も充実(食堂は無料のビュッフェ形式なのだとか)していて、良好な勤務環境の中でそれぞれの職務に励んでいます。
―悲しいほど美しく、満ち足りた世界。
戦争も貧困もない幸せで豊かな社会です。海塔博士の研究成果もこうしたユートピアの構築に大きく寄与しているようです。時代設定は今から1000年後、はるか遠い未来世界。人々の生活ぶりからして、その割にはあまり進歩していないようにも思えますが……?
「ここは美しいようで、何もかも満ち足りているようで、様々な冷たさと悲しさと……幻想を奥底に秘めている」
―別作品との接点。
時間軸としては、別作SF小説『テルミネ・ターミナ』に登場する未来世界よりさらに少し後の世界を舞台にしています。
ストーリー的なつながりはありませんが、見覚え(読み覚え?)のある場所が出てくるかもしれません。
「そりゃそうでしょう。人間の姿だって確保しとかないと」
ワタルは振り返らずに言った。
「泣いたっていいんだよ。平気だよ。誰も見てないんだからさ」
【新約幻想ラボラトリー 目次】
※リンクを貼っている部分は試し読みできます。
0 発芽
Ⅰ 消えた博士
Ⅱ 記憶の海
Ⅲ 忍び寄る影
Ⅳ 秘密の場所
Ⅴ オープン・ガーデン
Ⅵ 隠されていた声
Ⅶ 千年の時を越え
Ⅷ 二人の賢者
Ⅸ 上から下へ、さらに下へ
Ⅹ 不死鳥の巣
ⅩⅠ 帰還
ⅩⅡ 復活神話
ⅩⅢ 終わらない庭園
「何言ってるのよ。どうしてこんなところでわたしが泣かないといけないの。しかもあんなひとのために。
何度も言ってるじゃない。あんなひと、どうでもいい。あんなひとのことなんか――」
そこまでが限界だった。
「嫌い……大嫌い……」
ここなら平気だと思ったから。
子供みたいにボロボロ大粒の涙こぼしたって、下にいる人達はほんの一瞬のにわか雨だと信じて疑わないだろうから。
「アグネス。ボクは、博士はきっとアグネスのところに帰ってくると思ってる」
「うん……」
(作品本文より)
―君を探し続けている。
▲TOP
|