花が咲かない椿 作品紹介シオンの遥か・天空編


「ついに行く気になってくれたか。説得の甲斐があったもんだ。こちらこそよろしくな、実りある旅にしようぜ!」

 
ライヤ博士は僕の両手をしっかりと取ってぶんぶんと握手を交わした。さらに感極まって抱きしめられそうになったので身長差を利用して巧みによけた。
 そこでやっと気がついた。
 またしてもはめられたのだと。





 
表紙イラスト:水無月 弍録
『シオンの遥か』(2016年1月1日発売)の続編。

またしても冒険好きのライヤ博士に連れられ、
幻の天空の塔を探しに大空に繰り出した悠。
博士の愛機「マクシミリアンⅡ」が着陸したのは思いもよらぬ場所だった。

「お願いだから勘弁してください。僕は人一倍ありふれた日常を好む人間だってこと、誰よりも知ってるでしょう?」
「あぁそうだ、そうなんだよ悠。ありふれた日常の中に、唯一無二の冒険が隠されている──」

◇発売日:2018年4月15日
◇小説(電子書籍)
◆ジャンル:冒険


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● 塩野 悠 Shiono Yu
都内の私立大学一年生。
高校時代に引き続き、人一倍穏便な日常生活を好む男の子。
念願叶って付き合えることになった同級生・北川玲奈との交際はそこそこ順調な一方、
人気者の彼女を誰かに取られやしないかと内心落ち着かない日々。

● 園江 美月 Sonoe Mitsuki
悠が通っていた高校の国語の先生。
美人だけど授業が厳しいことで有名。
趣味は小説を書くことと、思わせぶりな所作で悠を惑わせること。

● ライヤ博士 Dr. Laiya
歳の離れた悠の友人。
自称「空飛ぶ自由人」、基本的にあまり地上にいない。
エキセントリックな言動と限りない冒険心はもれなく悠たちを様々な騒動に巻き込む。


「もしかしたら、またあなたたちと三人で冒険できるのはこれが最後かもしれないし」





冒険小説『シオンの遥か』(2016年1月1日発売)の続編です。
前作は地底世界を旅するお話でしたが、今回ライヤ博士は悠たちをどこに連れて行くのでしょうか。
ブリューゲルの絵画「バベルの塔」を事前にご覧になっていただくと、この物語がよりよくお楽しみいただけます。

続編ですが、本作だけでも内容が理解できるように書いています。
『シオンの遥か』本編を読んだことのある方もない方も是非どうぞ。


「歩くんじゃつまらない、走り抜けるのでも物足りない──飛ぶんだよ、思いっきり高く飛ぶんだ。普通のフライトなら誰を乗っけるかも飛行ルートも着陸先も決められている。だが人生というフライトは何もかも自分の意志で選ぶものだ。多少ぐらつこうが迷子になろうが構わない。引き返すなんて不細工なことはするな。正しいルートだと信じて飛び続けろ。要するに楽しんだもの勝ちだ! 
 覚えとけよ。俺が飛び立って、二度と帰って来なくてもな」





「これは、君と僕との冒険の旅」



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